以前まで”まず最初にココを”と言うカテゴリーの中で、このブログ以前(HP時代)から説明と言うかたちで公開していた文章をご紹介させていただいていたのですが。
改めて”漁師のお仕事”と言うカテゴリを作ったので、移動させた後仕事内容に関連した記事を書いた場合に使っていこうと思うしだいであります。
それでは、以前から公開していた記事を移動したのを手始めにUPさせていただきます。
なお長くなるので続きに書きます。分かりにくい、とか、もし質問などありましたら、メール、掲示板等でご連絡ください。分かる範囲で善処します。
ご支援よろしくお願いします→
まず、定置網の外観(図1)。
それでは用語の説明を。
○
台:
網を設置する際に一番の決めの部分になります。この画像では1つですが、うちらの網では
矢引のように2箇所あります。
○
矢引 台同様、網を設置する際に決めとなる部分です。
○
オオゴ 画像にはその名前はありませんが、重要な部分なので書いておきます。
本来なら、沖、磯と2本、
台から
矢引まで1本のロープで繋がっており(この点も画像とは違ってますね)、そのロープのことを
オオゴと呼びます。
○
胴掛 またも画像にはありませんが、”沖”と矢印ありますよね?。その矢印の下部分にちょっと大きな黒い塊がありますよね。それが
胴掛。主に
オオゴを張るためにあります(中に網が入るとどうしても重さで狭まろうとします。それを防止するためにつけます)。
○
二重落し 毎日起す網です。袋になってます。どんな感じかは、下図(図2)で(以前のHPで使ってたやつです。絵心が無いのはご勘弁)
うちらは
中網とか
落とし、と呼んでます。
○
身網 この図では2段落としになってますね。
身網に入った魚が
2重落しに落ちる、って寸法。
うちらの網では、漁場その1が深いため、コレと同じ形になっております。
コレも
中網、いや、目の荒さが2寸あることから
2寸目と呼ぶことが多いですね。
○
返し網 図を見てもらうと分かるとおり、
2重落しにも付いてますよね。
これは、
身網についているものなのです(違うところもあるらしいですが)。図2でいうところの緑色の部分ですね。
○
登り網 コレは、うちらでは
角戸網と一緒についております。
その名の通り、魚が登って
身網に落ちる網です。真ん中で割ることが出来るようになってます。
○
角戸網 いわゆる
運動場ってやつです。上物のロープからぶら下がってる網で(つまり底が無い)、網の目は大体2~3寸目。
○
羽口 ふーん
羽口って呼ぶんだ(笑)。うちらはどう呼んでるかなぁ。
エメ先の口?。なんかそういう風に呼んでますね。
ちなみに、
羽口から図でいうと斜め下に広がっていますよね、その部分は
袖と呼んでます。
○
磯垣網、沖垣網 うちらは
下網とか
鼻緒って呼んでます。
沖の下網、磯の下網って感じで。
ちなみに両方とも2箇所で分割できるようになっております。
磯垣網に限って言うと、ずっと下のほうに降りてきて折れてますよね。その手前で分割できるようになっており、沖側が
見通し、磯側が
折、また磯の端っこのほうで折れてますよね?そこを
天狗、と呼びます。
○
前掛・裏掛 垣網部に鉛筆の先っちょみたいな絵が書いてありますよね。この絵ではよく意味がわからないのですが、うちらの網では
胴掛のように一本のロープで引っ張り大きな浮きをつけて張っています。
向かって右側が上(カミ)左側が下(シモ)と呼び、上側が
前掛、下側が
裏掛、と呼んでます。
と、コレで用語の説明は終わり。
お次は仕事の種類。大きく分けて3つになります。
大前提で言っておかなければならない事は、漁場が2箇所ある、と言うことです。名前を書くのはアレなので、ブログの中では”その1””その2”と呼称することにします。1箇所とは言わずに1ヶ統、2ヶ統と呼びます。
①
漁 その名の通り、漁に行く事です。
早朝4時に漁港を出発。1ヶ統につき約1時間位かかり、網に入った魚を捕って戻ってくるのは大体6時。そのまま、氷見漁港まで運ぶこともあります。よほど海が荒れてない限り、ほぼ毎日この仕事はあります。
②
沖仕事 沖に出て行う仕事のことです。毎月行う
中網の入替、春秋と行う総入れ替え、年2~3回行う
身網の入替、
水切、
貝落し、
石切、
見と回りなど様々です。
1、
入替:
基本的に現在ついている網を外して、ついていた網を海の中に沈め、その後陸から持っていった網をつけるっていう内容になります。
中網は、ほぼ毎月入替。
2寸目は年3~4回。年に2回(春・秋)、網の全入替(交換)があります。その時期は、網を外し、しばらく付けてないって事もあります。
2、
水切:
基本的に入替時についていた網は海の中に沈めて付いている藻などを腐らせます。そして、その網を船に上げながら、勢いよく水をかけて洗う、って仕事です。基本的に、その網を陸仕事で修繕します。
3、
貝落とし:
定置網は、上物と呼ばれるロープや浮子などは常時海に浮かんでいるわけです。そうなると、どうしても藻や貝などが付着します。
それらを手作業で落とすわけです。手作業で(笑)。根と呼ぶ錘から出て上物に繋がっているロープなどにも貝は付くので、それなんかも落とします。
4、
石切:
網が流れていかないようにロープで錘をつけて止めてるのですが、その錘を沈める仕事です。
台や
矢引だとかなりの量を沈めますが、普通のところだったら約30個(ひとつ50kgくらいでしょうか?)沈めます。
5、
見と回り 見て回るがなまったのだ、と思います(笑)。その名の通り、見て回ることです。台風の後など、何か異常がないかを調べて回るって事です。
③
陸仕事 陸、つまり漁港内の広場で行う仕事です。
沖仕事がある時期は、必ず並行してあります。沖から
水切をして上げてきた網を、干したり(藻とか、貝とかいっぱいついてるんでそれを取る)、修繕したり。
あと、ロープについた貝を落としたり、ブイをつけるロープの修繕をしたり、
石切で使うための石を袋に詰めたり、とさまざま。
漁の流れ。
出航時間が4時なので、大体3時に起床。
3時半くらいに、番屋へ行き合羽を着込みます。トラック運転手を命じられてる方はトラックに乗り込み、みんなで氷を積んだりして船を止めてる場所まで行き、氷を船に積み込みます。伝馬船の乗員は伝馬船に乗り込みます。
基本的に新人君が本船の準備をします。以下の通り。
船を岸壁に近づけて縛り(子供とかがいたずらしないように、離して止めてあります)、船先を止めてあるロープを緩めます。んで、キャッチャーっていう、網を上げるときに使う装置をセットします(これは、頭、中間×2、艫(トモ:船の後ろ側)の4箇所あります)。 お次は氷室に入ってる、もしくは今積んだ氷を出して砕いて、タンクにセット。寒い時期は火床に盤木を入れ、火をつけます。
本船には、船頭、、船長、機関長、水夫6名の9人。伝馬船には船長、副船頭兼水夫の2人。総勢11名で網を取りに行きます。
4時ごろ、番屋からもたもたと船頭が出陣。乗り込むとほぼ同時に出港。
本船と伝馬船はロープで繋いであり、網が近くなったら離して作業に取り掛かります。
まず、本船は地図の身網と落としの境目に陣取ります。伝馬船は離れた後、本船横(後ろ船側、と言います)につけて、船員2人は本船に乗り込みます。
そしてんで、タナワというロープをドラム(って言う装置)で上げていくと、網が上がってくるって寸法。
そのタナワに繋がっている網をキャッチャーを使って端から上げていくと、自然に(ホントは台繰りというロープを巻くんだけど)台に向かっていくわけです。
んで、どんどん台の方へ向かっていき、近づいてきたら、伝馬船は本船を離れて反対側に向かいます。
んで、間に挟まれた網にかかってる魚をあげる。この所がよくTVとかで放送されてる場所になるわけだ。
取れた魚は、氷の入ったタンクや、そのまま海水だけのタンクにあけます。船の地下室(あかまと言いいます)に移すこともあります(大漁時)。
んで、落としの横に、モッタと言う網もあって、落としの中を回遊してる魚が入り込んだら絶対出れないって仕掛けの網もあります。基本的に、そこも上げたら移動。こんな感じの網を2ヶ統取ってるんで、次のところを取りに行くわけです。
んで、そこが終わったら、港に戻ってより分けて市場行きの車に積み込んで漁は終了。時間にして約2時間。
この後、市場行きの人たちはトラックに乗り込んで市場へ。市場についたら魚を下ろし、並べて競りにかかるのを待ち、競りを終えたら魚を入れていたタンクとかを集めてトラックに積み込み、やっと終了。沖仕事があるときは、そのまま市場内の食堂で朝食を取ります。
陸仕事の時は、各自いったん帰宅して朝食を取りに。
終了の時は番屋で他の人たちは待機、俺は流し前と呼ばれる板長なので、刺身を作り、市場行きの人らが戻ってきたら神酒なんぞを頂いて解散。
と、言うことで。こういう感じで日々過ごしております。単純ですね、漁師って(笑)。
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